「今、初めてアンタが可愛くなった」
「へ?」
「大嫌いな奴でも情が移ったりしてしまう行為があるぞ」
今度は、美国部長は笑わなかった。
鼻息で馬鹿にすることもなければ、抑える蹴ることもなく、喋ることもしない。
ただただ、その冷たい瞳が柔らかくなっていく。
きっと、この人も、心の奥に自分を隠しているのだと思う。
その自分は、傲慢で暴君で意地悪なんかじゃない。
広い家で、猫一匹も飼う事を許されなかったあの日か、
誰かに見つけて欲しくて、だから大きくなっていくその抑制されたデザインか、
このモデルルームの様に綺麗で誰も寄せ付けないその姿か。
近づいてくる美国部長の顔に、息をするのも忘れて見入った。



