「優しくないのに、――優しいこと言わないでくださいよ」
「俺は多分、お前の『狼君』よりも優しいと思うが」
そう言いながらも、私の上から退こうともしないくせに。
勝手なことばかり言うんだもの。
怖いのに、思わず笑ってしまいそうになる。
「現実から逃げてる奴の想像力もねぇデザインは俺は好きじゃないけど、お前ならきっと乗り越えたら――良いのが出来るんじゃねーかと思ったよ。あの猫カフェの落書きを見て」
「落書き……」
相変わらず辛辣で、容赦ない。
「俺は現実主義だから、お前の様なデザインはできない。頭が制御しちまうのかな。だからお前がちょっとだけ羨ましい。だから逃げるな、ちゃんと受け止めてやれよ」
受け止める。
『何』を?
そう聞こうとして、私の口は閉じられた。
良そう。そう言って何でも誰でも頼ってしまうのは。
狼君を、知らない男の人だと感じてしまうことはあったけど見いないフリしていた。
本当は、サンタが電気を消してしまったパニックの中、私の唇に何が触れたのか分かっていたのに気付かないように精一杯努力していたんだ。
弱虫なこの心が。



