ワンコorオオカミですか!?

ギシギシとソファのスプリングが部屋中に響いて、その音が、その重みが、その現実がゆっくりと私を支配して行く。

「泣くな。――そんなにあの男が、お前じゃない女に触れたのが嫌だったのか」

泣く――?

そうか、目尻が熱いのは涙のせいだったんだ。
後から後から、止まることもなく流れ落ちて――美国部長の顔さえも良く見えない。


嫌、か。

私、嫌なのかな。
だから泣いているのかな。

「現実から逃げてきた罰だ。泣け、泣いてしまえ」

優しくない。
世界で一番優しくないこの男が、優しくて酷い言葉を私に投げかける。
知りたくなかった部分を、無理矢理にこじあけて、嫌がっても止めない。
片手で私の手首を捕まえて、現実に引っ張りだして行く。


「こんなドロドロした自分は自分じゃねえって顔、してるぞ」

クスクスと、何でこんな時だけ美国部長は優しく笑うんだろう。
私、この人がこんなに穏やかに微笑むのを始めて見た。

抵抗しないと分かったのか美国部長は両腕を離すと、代わりに涙を指で拭ってくれた。