「他の猫によそ見するからサンタも私の所に来たんじゃないですかね」
「はあ? 猫の可愛さには罪はねぇよ。お前こそ、紺野と犬飼が元恋人同士でも良いのかよ」
「……」
それを言われたら、紅茶が冷めるのを待っていた私の手は止まる。
それは――どう言葉にしていいか分からない。
美国部長のデザインは、効率的で安全的で――私みたいに心の中が反映されていないから比べられないけれど。
その思いを形にしたら、その思いを色にしたら、今まで描いていた絵が急に安っぽく感じてしまいそうで、言葉にするのは怖い。
「…………」
「……やっぱプリンってバニラビーンズが浮かんでいた方が美味しく見えるな」
気まずくなったのか、美国部長から気を使われるのは初めての事だった。
でも、考えたら――多分嫌なんだと思う。
空に浮かぶクジラを、真っ黒なペンキで消されていくみたいに、嫌だ。



