「缶ビールとかワインとかじゃないんですね」
「アルコールはあまり飲まないな。お前こそ飲めるのか?」
馬鹿にしたように笑いながら席に座る。
テーブルには、アールグレイの良い香りで既に溢れている。
どうでも良いけど、紅茶とこの人って優雅過ぎる。
「私は嗜む程度ですよ。狼君の家にワインセラーがあったけど、ワインは価値が良く分からないから触らないようにしてますけど」
「ああ。お前らやっぱデキてるのか。ほぼ同棲みたいだって一時期噂されてたぞ」
「そんな。ただの大学の後輩、先輩ですよ」
でも何だか今はその言葉がしっくりこなくて思わず首を傾げてしまう。
ただの先輩後輩なら、あんなチョコの食べ方はしないはず。
「向こうは全然そう思ってねーだろうなあ。お前馬鹿そうだし」
「どういう意味ですか。美国部長だって、エレベーター内で紺野さんを口説いてましたが、もしかして」
「ああ。そのもしかしてだ。あいつの家の猫、日本で数匹しかいない海外のブランド猫だからな、どうしても家に行ってやろうと頑張ってたんだ」
私のもしかしては、美国部長が紺野さんにアプローチしてるのかって質問だったのに。
本当にこの人、猫のことばかり。



