ワンコorオオカミですか!?

今が現実なのかと疑いたい気持ちになっているのは、この爽やかでイケメンで王子様みたいな甘い笑顔の美国部長が隣に座っているせいだ。

そうだ。

今日は早くからこの人に呼び出され、狼君と出勤しなかっただけでなく、この人のペースで仕事をどんどんさせられて、気づいたら打ち合わせにクライアントと近くのカフェに来ていた。


でも、これは夢なのかもしれない。
いや、本当に夢であって欲しい。

いつも着崩したスーツは、アルマーニの上品なストライプの線が入った紺色。
ネクタイだってだらしなく伸ばしていない。きっちりと神経質そうに喉を締めている。
隙が全くないこの服装に、普段見ることなんてありえないはずの笑顔を貼りつけて、にこやかに打ち合わせする美国部長を見た、驚きを隠せない。

こっちは夢であっても構わないかもしれないレベル。

クライアントは若い女の人で、名刺にピンクの招き猫が描かれていて、美国部長が可愛いと興奮してたのは夢じゃないかもだけど。

観月 琴美(かんづき ことみ)。
動物トレーナーだった彼女が今では、4件の猫カフェの支配人をしているらしい。