狼君に頼りにされるような、本音を見せて貰えるような先輩になりたい。
ちょっとだけ、心の中でモヤモヤと、インクの染みが紙に広がるような嫌な気持ちがじわじわと胸の中に侵入してくる。
夜空をクジラが浮かんでいたのに、真っ黒なインクが消して行ってしまう感じだ。
「もう此処で良いよ」
「先輩?」
「サンタがまだ遊び足りないみたいだし帰ってあげて。あと、今日撮った写メ送ってね」
「あ、先輩?」
今度は狼君の頭の中にクエスチョンマークが飛んでいる。
それでも、何だか心の中まで可愛くない私が占領してしまいそうで、怖かった。
今日は怖いことばかりで嫌になる。
振り切るようにマンションの階段を上がる。
狼君は追って来なくて。
自分の部屋から見下ろした狼君は、もう猫の爪ぐらい小さく遠くまで帰って行っていた。
駄目な先輩で恥ずかしい。



