ホッと息を小さく吐いた私は、慌ててその溜息を喉の奥にまた隠しておく。
見せていない本性を、またいつか見せると笑う狼君。
そんな狼君が、なんだか怖くて大声を出してダッシュで逃げだしたくなったなんて言ったら、傷つけてしまいそう。
彼が傷付く言葉や、態度は分かって来たけれど、犬の様な耳や尻尾が無い時は私には分からない。
だから、どうかもう少しだけ。
このままの距離で良いんじゃないかなって思う。
チョコレートの魔法が溶けても、底に残る幸福が失われないように祈る。
「あ」
「あ?」
「狼君って紺野さんと深い仲だったの?」
深い仲――もちろん、お互いを呼び捨てにし合うような仲良しって意味だったんだけど、狼君と繋いでいた手が分かりやすく汗ばんでいく。
どうしたの?



