まるで女子のようにお菓子の話できゃっきゃっと女子トークを始めた狼くん。
あまり周りに興味を持たない私でも分かる。
狼くんは、年上の女子社員から凄く可愛がられている。
まんまと餌付けされた狼くんは、尻尾をブンブン振ってお菓子をいっぱい貰っていた。
蜂蜜色の淡い瞳に、ふわふわの猫みたいな髪の毛。
ちょっと垂れ目で大きな目は、笑うと甘く蕩ける。
そして私みたいな変わり者にも親切で、優しい。
誰でもすぐに打ち解けて、おまけにあんな風に甘え上手。
私はちょっとだけ思ってしまう。
狼君みたいな女の子だったら、きっと素敵な――御伽話の様な恋が出来たのではないかと。
狼君みたいに生まれたら――きっと今みたいにパソコンの前でずっとお絵かきとか、してないよね。
狼君達がキャピキャピと盛りあがっている中、ずっと窓の外ばかりみていた。
地上から15階も離れたこの場所でも空は遠いのだから不思議。
窓ガラスに映った狼君たちと自分を見て、思わず目を逸らした。



