-雪穂side-


「ただいま………。って辰彦は寝てるのか………。」


私は映画の撮影が終わってようやく家に帰ってきた。


幼馴染で高校生のとき、辰彦から告白してきて付き合い、結婚することになった。


もう結婚して1年は経つのか……。


私は大学を卒業して、家業を継がずにモデルになり、最近は女優業をやっている。


なかなか軌道に乗っていて忙しくなって家に帰ってこれなかった。


「………雪穂、お帰り。」


仕事忙しいのかな。


まだだいぶ眠たそう。


「眠いの?ソファーで寝ないでベッドで寝ないの?」


ソファーだったら体痛めてしまうわ。


「………大胆な誘いだが、気が強いお前は意外と鈍感なんだよな………。」


何やらブツブツ呟いていた。


男ならハッキリ言いなさいよ……!


「夕食は?もう夜中になりそうだが。」


「撮影が終わって打ち上げしてきたから夕食は済ませたわ。辰彦は?」


「俺はもう食べたし風呂も入ったから。お前も入っておいで。」


「じゃあお言葉に甘えて。」


見た目は怖そうなのに意外と優しいんだよね………


帰るのが遅くなるかもってメールしたのに待っていてくれたし。


いつもそうだったな………。