「おーい。突っ立ってないで座れよ」


我に返ったようにハッとする美咲に俺はソファーを指差す。

そしてすぐに冷蔵庫に向かい扉を開けた。


「あー…、作るとか言っときながら何もねぇわ」


冷蔵庫の中を探ってみたけど、作れるようなもんは何ひとつもない。

つか当たり前だろ。と自分に突っ込みながら、冷蔵庫を覗き込む。


普段、料理すらしねぇ俺が、そんな作れるような食材を入れているわけがない。

じゃあ、なんで美咲を連れて来たって事になる。

いや、そんな事わかんねぇし。

咄嗟の行動だった。


「別にいいよ」


隣からの不意に聞こえた声に視線を送ると、いつの間にか隣に来ていた美咲は同じように冷蔵庫を見つめていた。

別にいいよ。と言われて、分かった。など言えるわけがない。


ここまで勝手に俺が連れてきて。と言うよりも美咲に何かを食わせないとって方が正しかった。

どうしようか、と思ってふと思い出す。


昼仕事から帰ってきてご飯だけ炊いてた事を。

それを食おうとしてたけど、結局は寝すぎてそのままだった事。


見ていた冷蔵庫をパチンと閉じた。


「ご飯あまってっからチャーハンでもいい?…っつってもチャーハンの素しかねぇけど」


正直、これ以上のものなんて作ることも出来なかった。

結局はこのご飯は、卵かけご飯で消え去っていくようなもんだったから。


と思いつつも、美咲が言ってたご飯にふりかけと、あんま変わんねぇじゃんと思うと馬鹿らしい笑みが漏れた。