「ま、今日は何とかすっけど。明日は来いよ」
「あぁ」
電話を切ったあと、ため息を吐き出し顔を顰める。
そして手に持っているスマホの電源を落とし、俺は外に出た。
空を仰ぎ深く深呼吸をする。
そしてタバコを咥えて火を点けた瞬間―――…
「産みたくっても産めない場合だってある!!」
必死になって張り叫んだ声に、必然的に俺の視線が向く。
美咲じゃなく、美咲の友達の声があまりにも大きくて反響し、
「美咲に…、美咲に言われたくないよ!!」
「……」
「じゃあ、美咲はどうなの?自分の身体売って、それで妊娠したらどうすんの?…産むの?お金貰ってる人の子供産むの!?」
更に頭が痛くなるほどの飛び交う言葉に顔を顰めた。
あぁ、そうだった。
あいつ援交してんだった。
んな事、忘れてたわ。
咥えてたタバコを離し、ゆっくりと煙を吐き出し俺は空を仰いだ。
真っ暗な暗闇。星一つない空が歪んで見える。
つか友達、妊娠してんのかよ…
しかもあの男かよ。俺が言うのもあれだけど、やめとけよあの男。
てか、なんなのこいつら…高校生かよ、マジで。
「何言ってんの?親にも言えないし雅樹にも言わないのにお金どうすんの?」
「どうにかするよ」
「どうにかって何?なんも出来ないじゃん」
「美咲みたいに身体売ればいいんだよ」
すげぇ会話が飛び交った後、バチンと乾いた音が響いた後、俺は必然的に二人を見てた。



