「マジで今日は行けねぇわ…」

「お前、分かってんの?たった一日が命取りになっぞ」

「命取りねぇ…」

「しかもお前がいねぇ事をいいことにルイの奴すげぇけど」

「へぇー…」


別にどうでも良かった。

そんな事、なんでか分かんねぇけど、今はどうでもよかった。

これで落ちたら落ちたで、別にいいと思った。

美咲の所為でも何でもない。

ただ俺のやる気ってもんが今はなかった。

こんな調子で行っても他の女を相手にするほどよくできた男でもなんでもない。


「へぇー…じゃねぇし。お前、やる気あんの?」

「今はない」

「ハッキリ言うなよ」

「……」

「とりあえずアキにヘルプ頼んである。帰ってる客もいっから、後はお前でどうにかしろよ」

「あぁ」

「…にしても、お前がなー…女の為にブッチするとはな。お前にとって特別なわけ?」


流星から言われた言葉に思わず首を捻った。

…特別?

あいつは俺にとって特別ってか?

そんな事、分かんねぇし。


「さぁ…」

「ふーん…、でも確かにすげぇ綺麗だったけど。お前、あぁ言う凛とした顔好きだもんな」


そう言った流星の笑い声が受話口から漏れる。


「顔じゃねぇけどな…」


小さく呟き少し離れた所にいる美咲に視線を送る。

確かに、一番初めは気になって綺麗だからって近づいたのかも知れない。


でも、今は違うような気がした。

あいつの訳分かんねぇ強がりな性格。

周りとは全く違うその雰囲気が俺にとっては居心地が良かったのかも知れない…

他の女とは全く違う対応と言葉遣い。

それが逆にほっとけなくなったのかも知らない。