「そう。ほんと迷惑」


小さく呟く俺に流星は更にクスクス笑った。


「お前、ほんと重症だな。退院したらすぐ復帰じゃなくて暫く一人旅して来いよ」

「どこにだよ、」

「んなもん決まってんだろうが」


″オーストラリアしかねぇだろ″


付け加えるようにそう言った流星はそのまま病室を後にする。

行って、どーすんだよ。

行ったら帰れなくなるに違いない。


暫くして俺は病室を出て外に出た。

ベンチに座ってタバコを咥えて火を点ける。

何も考えないようにしてるつもりでも、どーでもいい事ばかり考えてしまう。


1本目のタバコが吸い終わり、また2本目のタバコに火を点けた時、不意に鳴り出したスマホ。

ポケットから伝わる振動。

タバコを咥えたままスマホを取り出すと、画面に美咲の文字が現れる。


最近いつ話したっけ?なんて思いながらスマホを耳にあてた。


「…はい」

「翔?元気?」

「うん。美咲は?」

「元気だよ。誕生日おめでとう。27歳だね」

「ありがと」

「遅くなっちゃってごめんね。もしかして仕事中だった?」

「ううん。休み」

「そっか良かった」


美咲の声を久しぶりに聞くと、逢いたいと思う感情が溢れだす。

それを紛らわす為にしていた仕事もしてないせいか、更にそう思わせる。


「今、何してたの?」

「今ねぇ、海!その前で海眺めて電話してる」

「海?」

「そう、物凄く綺麗。こっちの夜の海も素敵だよ。ねぇ、翔?」

「うん?」

「誕生日、何ほしい?去年も、一昨年も、その前の分も溜まってる」


クスクス笑いながら美咲は「何がいい?」なんて問いかけてくる。