――…
4月。
美咲が旅経ってから4年目の春を迎えた。
丸3年の月日が流れ、相変わらずこの入院生活も慣れて来た。
いや、慣れたというより居なきゃいけないという習慣。
体調がよくなってきたのかもどうかも分からない。
でも一つ言えるのなら、お酒を飲んでいないせいか、前よりは楽だった。
喉が渇いたせいで一階の売店まで来る。
そこで水を買って、患者で溢れるそのロビーで実香子を見つけた。
その前にはもう一人の女が居て、その二人の横を通り過ぎようとした時、もう一人の女が俺を見た瞬間慌てた様に足を動かせた。
振り返って目が合ったのは梨々花で。
慌てて去ろうとした瞬間に何枚か持っていた紙がヒラヒラと落ちていく。
それに気づいた梨々花は慌てて取ろうとしたが、ソレを掴んだのは俺の方が早かった。
「…は?なにこれ」
手に摘まんで、その用紙をジッと見つめた。
…中絶希望用紙。
同意書って書かれてある用紙。
「ちょっ、か、かえしてっ、」
慌てた様にその紙を取り返そうとするが、俺は反射的にスッと梨々花の手を交わす。
隣に居た実香子は、どうしようってな感じで目を泳がしていた。
「なぁ、これなに?」
「……」
もう一度聞く俺に実香子の目が更に泳ぎ、梨々花は言葉を継ぐんで視線を落とす。
「お前、妊娠してんの?中絶って、なに?」
「……」
「なぁ、梨々花?答えろよ」
「…翔くんには関係ないでしょ?」
「いや、関係ねぇけど、この用紙の理由が知りたい」
「そのまんまの意味だよ」
「蓮斗は知ってんのかよ」
「…っ、」
言ったとたん、梨々花は目を泳がす。
「は?もしかして蓮斗じゃねぇの?」
「レンだよ、レンであってるよ」
「蓮斗におろせって?」
「……」
「なぁ、梨々花?」
「そうだよ!!レンがそう言った!翔くんには何にも関係ないから!」
俺が持っている用紙を梨々花は勢いのままバっと取り、目を潤ませながらスタスタと歩いていく。
そんな俺の前で実香子は戸惑う様子を見せた。
4月。
美咲が旅経ってから4年目の春を迎えた。
丸3年の月日が流れ、相変わらずこの入院生活も慣れて来た。
いや、慣れたというより居なきゃいけないという習慣。
体調がよくなってきたのかもどうかも分からない。
でも一つ言えるのなら、お酒を飲んでいないせいか、前よりは楽だった。
喉が渇いたせいで一階の売店まで来る。
そこで水を買って、患者で溢れるそのロビーで実香子を見つけた。
その前にはもう一人の女が居て、その二人の横を通り過ぎようとした時、もう一人の女が俺を見た瞬間慌てた様に足を動かせた。
振り返って目が合ったのは梨々花で。
慌てて去ろうとした瞬間に何枚か持っていた紙がヒラヒラと落ちていく。
それに気づいた梨々花は慌てて取ろうとしたが、ソレを掴んだのは俺の方が早かった。
「…は?なにこれ」
手に摘まんで、その用紙をジッと見つめた。
…中絶希望用紙。
同意書って書かれてある用紙。
「ちょっ、か、かえしてっ、」
慌てた様にその紙を取り返そうとするが、俺は反射的にスッと梨々花の手を交わす。
隣に居た実香子は、どうしようってな感じで目を泳がしていた。
「なぁ、これなに?」
「……」
もう一度聞く俺に実香子の目が更に泳ぎ、梨々花は言葉を継ぐんで視線を落とす。
「お前、妊娠してんの?中絶って、なに?」
「……」
「なぁ、梨々花?答えろよ」
「…翔くんには関係ないでしょ?」
「いや、関係ねぇけど、この用紙の理由が知りたい」
「そのまんまの意味だよ」
「蓮斗は知ってんのかよ」
「…っ、」
言ったとたん、梨々花は目を泳がす。
「は?もしかして蓮斗じゃねぇの?」
「レンだよ、レンであってるよ」
「蓮斗におろせって?」
「……」
「なぁ、梨々花?」
「そうだよ!!レンがそう言った!翔くんには何にも関係ないから!」
俺が持っている用紙を梨々花は勢いのままバっと取り、目を潤ませながらスタスタと歩いていく。
そんな俺の前で実香子は戸惑う様子を見せた。



