「流星、水と薬、持ってきて。薬は冷蔵庫の上」

「はいはい」


なんか頭も痛ぇし、胃も痛い。

調子わるっ、


「はいよ。なんか食うのかよ」

「いや、そんな気分でもねぇわ」


身体を起し、前かがみになって息を整える。

テーブルに置かれた水を口に含み、袋から錠剤を取り出した。


「お前さ、酒ばっか飲んで飯食ってねぇだろ」

「いや、そうでもねぇけど」

「沙世さんとこ行って食って来いよ」

「そんな時間もねぇわ」

「そんな時間もないくらい忙しいってか?ま、とりあえず病院行って来い。明日はここも休みだし、朝の仕事も休んで寝とけ」


流星に言われた様に帰宅し、とりあえず午前はひたすら寝まくった。

寝て、寝て、とにかく寝まくったけど身体が重い。


午後を過ぎたころ、インターフォンが鳴る音に気付くも、めんどくさくて出る気も起きなかった。

だけど何度もなる音に、苛立ちが芽生え、俺は仕方なく画面を見る。

そこに映る沙世さんに、思わずため息を吐き出してしまった。


…また流星かよ。


エントランスの鍵を解除し、玄関の鍵も開け、もう一度ソファーにうな垂れる。

暫くして入ってきた沙世さんは、寝転ぶ俺の隣に来て顔を覗き込んだ。


「…なに?」

「何じゃないでしょ。流星君が翔くんの調子がおかしいから見に行ってって言われたのよ」

「は?子供じゃねぇんだし、来なくてもいいっつーの」

「じゃあ大人なんだから病院に行きなさいよ。こうやって言われなきゃ行かないなんて子供でしょ?」

「……」


沙世さんが来てしまった限り、もう行かないとこの人は行くまで、ここに居座るだろうと思った。

反論するのもめんどくさくて、俺は何も言わずに立ち上がる。


そんな俺を困った様に沙世さんはボンヤリと見つめ、俺がしたくするのをずっと待っていた。