美咲が旅立って行く日。
来なくていいと言ったのを俺はその言葉を受け止めるつもりだった。
だから朝の仕事にも出向かって、何も考えないよにと淡々と自分の仕事をやりこなしていた。
でも、頭に過っていく美咲の顔と、何も考えないようにしている自分の感情が絡み合って、これ以上抑えることも出来なかった。
やっぱり最後に会わねぇと俺自身が後悔してしまうと思った。
仕事を途中で抜け出し一旦、帰宅する。
シャワーを浴びて、スーツに身を包んだ後すぐに車を走らせ、美咲の家に向かった。
インターフォンを押して出てきたのはお母さんで、俺を見た瞬間、お母さんは一瞬戸惑った表情を浮かべた。
「え、…翔くん?」
「すみません、美咲は?」
「もう行ったわよ。1時間前に」
「1時間前?」
「美咲から何も聞いてないの?」
お母さんは驚いた反面、俺を呆然と見つめた。
「あー…、」
「20時頃の便って言ってたから今から行けば間に合うと思う」
「すみません、ありがとうございます」
軽く頭を下げた俺は急いで車に乗り込み、車を走らせる。
四車線の道路を挟むように杉並木が並ぶ通りに数々のブランドが流れ込むように目に入る。
そのブティックに吸い込まれるように俺は路肩に車を停め、腕時計に視線を落とした。
時間に余裕がない。
車から降りようとする手をいったん止めて、俺はポケットからスマホを取り出しコールする。
「…はい」
数秒経って途切れた後、流星の声。
「悪い。今日遅れる」
「は?今度は遅刻かよ」
「用が済んだら必ず行く」
「何時?」
「わかんね。…美咲が、…美咲が今日旅立つ。だから――…」
「わかった。何時でもいいから終わったら来いよ」
俺の言葉を遮った流星の言葉に「悪いな、」そう呟いて電話を切る。
そして車から降りてジュエリーショップに足を踏み入れた。
来なくていいと言ったのを俺はその言葉を受け止めるつもりだった。
だから朝の仕事にも出向かって、何も考えないよにと淡々と自分の仕事をやりこなしていた。
でも、頭に過っていく美咲の顔と、何も考えないようにしている自分の感情が絡み合って、これ以上抑えることも出来なかった。
やっぱり最後に会わねぇと俺自身が後悔してしまうと思った。
仕事を途中で抜け出し一旦、帰宅する。
シャワーを浴びて、スーツに身を包んだ後すぐに車を走らせ、美咲の家に向かった。
インターフォンを押して出てきたのはお母さんで、俺を見た瞬間、お母さんは一瞬戸惑った表情を浮かべた。
「え、…翔くん?」
「すみません、美咲は?」
「もう行ったわよ。1時間前に」
「1時間前?」
「美咲から何も聞いてないの?」
お母さんは驚いた反面、俺を呆然と見つめた。
「あー…、」
「20時頃の便って言ってたから今から行けば間に合うと思う」
「すみません、ありがとうございます」
軽く頭を下げた俺は急いで車に乗り込み、車を走らせる。
四車線の道路を挟むように杉並木が並ぶ通りに数々のブランドが流れ込むように目に入る。
そのブティックに吸い込まれるように俺は路肩に車を停め、腕時計に視線を落とした。
時間に余裕がない。
車から降りようとする手をいったん止めて、俺はポケットからスマホを取り出しコールする。
「…はい」
数秒経って途切れた後、流星の声。
「悪い。今日遅れる」
「は?今度は遅刻かよ」
「用が済んだら必ず行く」
「何時?」
「わかんね。…美咲が、…美咲が今日旅立つ。だから――…」
「わかった。何時でもいいから終わったら来いよ」
俺の言葉を遮った流星の言葉に「悪いな、」そう呟いて電話を切る。
そして車から降りてジュエリーショップに足を踏み入れた。



