美咲が旅立つ日が明後日なった日、俺は午前の仕事を終わらせ、そのまま帰宅する。

あまり寝てなかった所為か、身体が重く、瞼が落ちそうになる。

風呂に入ってから美咲に会いに行こうと思ったが、こんな日に限って睡魔には勝てず、俺は上半身裸のままベッドに倒れこんだ。


数分もしないうちに瞼が落ち、俺は意識を手放す。


どれくらい経ったのか分からない頃、寝返りをうち、その拍子に俺の腕に違和感を覚えた。

何かに当たったその感触に俺はゆっくりと目を開ける。

ぼんやりと映りこんだその美咲の姿――…


「美咲…」


思わず俺は小さく口にした。

逢いたかった。

ずっと逢いたかった。


「ごめ…起こした?」

「ううん。おいで」


美咲の腕を掴んで、グッと引っ張る。

美咲の身体が俺の隣に来た時、


「会いたかった」


そう言って俺は美咲の身体をキツク抱きしめた。


「大丈夫?なんか疲れてる感じ」


こんな時まで俺の心配かよ。

ほんと、相変わらずだな。


「大丈夫。みぃちゃんに会えたから」

「翔に会いたかったから来たの」

「ありがと。嬉しい」


普段、言わねぇ言葉を美咲が言うと素直に嬉しいと思った。

俺も逢いたくて、逢いたくて仕方がなかった。


美咲の頭を抱え、俺の胸に引き寄せて俺は軽く目を閉じる。

だけど、美咲が不思議そうに見上げてきた所為で俺の目が再び開いた。


見つめてくる美咲の瞳と俺の瞳が重なり合う。

その瞳に吸い込まれるように、俺は美咲の唇と自分の唇を重ね合した。


会えば会うほど離れたくなる。

そう言った美咲の言葉が今まさにその通りだと実感させられる。

明後日行ってしまうと思えば、離したくなかった。


何度も美咲の唇に重ね合わせ、止めることが出来なかった。

美咲の唇を割って、そこに舌を入れ、美咲の舌と絡まりあう。


自分でもわかった。

いつもと違う強引なキス。

激しく動いていく自分の唇が分かっていながらも止めることが出来なかった。

だけど、それに美咲は気づいたのだろう。


グッと俺の胸を強く押してくる美咲に、必然的に唇が離れて行った。