「梨々花、逢いたいとか言わねぇの?」

「言わねぇなぁ。もしかしたら俺がそうさせてんのかもしんねぇけど」

「忙しいからな、お前」

「いや、もともと梨々花、言わねぇし。だから梨々花と居んのが楽なんかも」

「そか」

「つか忙しいのはお前もだろ?美咲ちゃん、悩みいっぱいあんだろーな、お前と付き合ってっと」


タバコを咥えてクスリと蓮斗が嫌みったらしく笑う。

その笑みに俺は眉を寄せた。


「は?どう言う意味?」

「お前、女いっぱいいっからそりゃ不安になるわ」

「いねぇし」

「ホストって言うワードがな。実香子と美咲ちゃんはそこに悩ませれっからなー…特にお前のほうな」

「なんでだよ。ってか、昨日病院行った時、実香子に出会って余計な事すんなって言われたし流星にも言われたわ」

「まぁ言うだろな。めんどくさそうだし当分ユウトに会うのやめとくわ」

「めんどくさい?」

「俺、人の恋愛に興味ねぇし」

「あんな語ってたのに?」

「お前が寂しそうに語ってくっからだろ」

「うっせぇわ。んじゃ、またな」


笑う蓮斗から視線を外し、俺は車のドアを開け降りる。

バタンと閉めた後、歩き出す俺の背後を蓮斗の車が通り過ぎ、俺は空を見上げて深く息を吐き出した。


ずっと平気だと思ってた。

ずっと大丈夫って思ってた。


だけど5年という響きが、とてつもなく重く感じた。


そしてその重みが時間が経つごとに増していき、美咲が旅立つ日が近づいて来る度に寂しさを増していた。