こうなってしまったのも仕方がないと分かっている。

10代の頃から酒とタバコに溺れてしまい、その延長でホストになり、また酒に溺れる日々。

遊び暮れていい加減な生き方をしてしまった天罰。

母親ひとりも守れなかった天罰。

そう思うしかなかった。


だから美咲は守りたいと思った。

守るって事が俺にはよく分かんねぇけど、心配はかけたくない。

だから美咲のお陰で前よりか身体には気をつけているつもり。


「5年かぁ…」


思わず呟いてしまって深くため息を吐き出した。

美咲の前では平然としているけど、考えると5年が物凄く遠い存在になる。

正直、美咲が言った言葉が頭を過る。


5年って月日は人の気持ちを変えるって――…

私が変わってるかもって――…


変わんのかねぇ…

5年も経つと。


「…翔くん?」


目を閉じて俯いてタバコの煙をゆっくりと吐き出した時、俺の名前を呼ぶ声に目を開ける。

こんな所で翔くんと呼ぶ人は一人しかいなくて、顔を上げるとやっぱり沙世さんだった。


「もぉ、ほんとにアナタは来なかったらずっと来ないのね」

「……」


フフっと笑った沙世さんに俺は口を開くことなく、視線を逸らしタバコを咥えた。


「どうしたの?浮かない顔だね」

「つか珍しいな。こんな通り歩いてんの」

「あー…違う店舗行ってたからね」

「そう」

「どうしたの?なんかあった?」

「なんで?」

「沈んだ顔してるから」

「そんな事ねぇよ」

「そんな事あるよ。母だからわかるもん」

「母ね、」


フッっと嘲笑的に笑うと、沙世さんはクスリと笑った。


「ねぇ、あれから病院行ったの?」


その言葉を聞いてまた深いため息を吐き捨ててしまった。