「いやマジで重かったっすよ。今だから言えっけど」

「確かに」


流星が笑いながら呟くと、蒼真さんは思い出すように頬を緩めた。


「いやー、あん時さぁ。桃華に夢中でバッくれてさぁ。そん時に一回、翔に抜かされたんよ。確かお前が19歳の時に」

「え、そーだっけ」

「そうそう。そん時にルキアさんにすげぇ怒られて、次の日の閉店後に2時間くらい説教されたわ」

「まじっすか?」

「うん。しかも言われた言葉が、“お前さぁ、好きな女とセックスしてたからって休んでんじゃねぇだろうな。その理由だったらマジで俺、殺すぞ“って言うわけよ」

「うわぁ、ルキアさん言いそうっすね」


ハハッと笑う流星に苦笑い気味で俺はタバコを咥える。


「いや、あの人が言うことはマジで正論しか言ってこねぇんだけど、なんか説教が普通にこえーの」

「わかるわー、で?ヤッてたんすか?」

「ヤってねぇわ。流石にそれはなかったわ」

「まぁでも蒼真さんと似たような奴が居ますけどねぇ…」


流星の視線が俺に向かってきたのが分かった。

面白そうに俺を見つめ、そして嘲笑的に流星は笑う。

その流星の笑みに俺は深くタバコの煙と同時にため息を吐き捨てた。


「ちょ、彩斗。俺にも注いで」


隣でグラスにウイスキーを注いでる彩斗に向かって、視線を送る。

だけど彩斗は俺を一瞬見た瞬間、眉を顰めた。


「はい?楓さんに飲ます酒はねーっす」

「は?なんで?」

「営業後は飲まない方がいいっすよ」

「はぁ?――…あ。ちょ、サトル俺に一本頂戴」


丁度、通りかかったサトルの手には缶ビールが2本あって、咄嗟に腕を掴んだ。