「俺はお前の先輩だぞ。なのにタケルって呼び捨てにしやがって、翔さんは″さん″付かよ」


不貞腐れながら言ったタケルに俺は思わず声に出して笑う。

つかそこ別に重要じゃねぇだろ。


「別にいいだろ」

「いい事ねーよ、これでも俺はお前の先輩なんだぞ」

「つか別にいい思い出作ってもらってねーもん。悪い思い出ばっかだしよ」

「はぁ!?まぁ、お前も座れ」


そう言って、タケルは諒也の腕を無理やり引っ張った。

案の定、諒也は顔を顰め、視線を奥に送る。


「は?俺あっちにツレ居っから」

「まーまーいいから」


タケルにグッと引っ張られた諒也は渋々と言った感じにタケルの隣に座る。

そして諒也は深くため息をついた。


「酔いすぎじゃねーの?」

「酔ってねーよ」

「ぜってー酔ってんだろうが。面倒くせーな…」


諒也が小さく呟き俺に視線を送る。

そのかち合った視線に、苦笑いしつつ、


「無駄に明るくて面倒くせぇよな」


ソファーの椅子に深く背を付けてタバコの煙を吐き出した俺は呆れながらにそう言った。


「いいか、お前はな俺の後輩だし、しかもお前はまだ高校生じゃねーかよ。そんなんで俺を呼び捨てにするな」

「説教かよ、」

「説教じゃなくて今後の為だ」

「今後!?いや、別に俺、タケルに今後の事教わるつもりもねーし」

「タケルじゃなくて、タケル先輩だろ」

「つか、マジで酔ってんじゃねーかよ」


顔を赤らめたタケルはベッタリと諒也に寄りかかる。

うっとおしそうにする諒也は眉間に皺を寄せて、ため息を吐き捨てた。