やっぱり来ると思ってた蒼真さんが訪れたのは閉店間際。

丁度、リアと店内を出る時だった。

すれ違い様に口角を上げた蒼真さんが「待ってるわ」そう呟いて俺の肩を軽く触れる。

頬を緩めた俺に、蒼真さんの視線がリアに向き、蒼真さんは更に頬を緩めた。


「リア様、元気そうで」

「なに?珍しいわね。戻ってきたの?」

「戻ってきたらお前は俺を指名してくれんの?」

「するわけないでしょ」


素っ気なく返したリアに蒼真さんはクスクス笑って、奥に進んで行く。

そんな蒼真さんに俺も笑みを浮かべ、リアと一緒に外へ出た。


寒っ、

そう思い俺は両手をポケットに入れると同時にリアの腕が俺の腕に絡まる。


「ねぇ、楓?」

「うん?」

「このまま朝まで居たい」

「朝まで?」

「そう朝まで」


微笑んだリアが俺の前に立ち、その両手が俺の首に絡まる。

ポケットに両手を突っ込んだままの俺は少しだけ見下げリアを見つめた。


「ごめん、また今度にして」

「ってか、私のお願いを断る気?」

「悪いな。同伴でもアフターでも何でもするから今日はごめん」

「何でも?」

「……」


リアがそう呟いた後、その唇が口角を描く。

その瞬間、笑みを浮かべたリアが俺の唇に重なり合った。

一瞬にしてリアの冷たい唇が俺の唇と重なり合い、冷たさを増す。


つか、キスは無理。


その唇から俺は避け、リアを抱きしめた。


「何でもしてくれるんじゃないの?」


リアの不貞腐れる声が重く感じる。


「いや、キス以外で」

「じゃあセックスしよ」


俺から離れたリアが俺を見上げて笑みを漏らす。


「なんでそうなんだよ」


いや、まじで。


「したいからだよ」

「そう言うのは好きな奴としろ」

「だから誘ってるでしょ?楓が好き。今日は朝まで空いてるのに」

「悪い。蒼真さん来てっから」

「私よりあっちなの?」

「ごめん。まじで」

「ま、いいわ。また、来るから」

「ありがとう」


リアと別れた後、思わずため息を漏らしてしまった。