「翔くんの周りって面白い子、多いよね」

「ただ馬鹿なだけだろ。俺もそうだしな」

「もお、なにそれ。でも翔くん元気そうでよかった。蒼真が辞めてからずっと薬飲んでるって聞いたから」

「あー…」

「今も?今も飲んでんの?」

「まぁ…」

「ちょっとはお酒とタバコ減らさなきゃ。蒼真もそうだったけどさ…」

「……」

「そこまでになるくらい飲むって分かんない。仕事だから?ま、私はホスト嫌いだったからわからないだけかもだけどさ」


その言葉で俺は苦笑いになる。


「桃華さん、それずっと言ってましたよね?」

「うん。今でも嫌いだよ。あー、でも翔くんは人として好きだけど」

「それでよく蒼真さんと結婚できましたね」

「ほんっと、それ!蒼真のアプローチが重くていつの間にか私が落ちてたよ」

「ははっ、俺もよく桃華さんの話聞かされてましたよ。マジであの頃は重かったっす」

「でしょー…今でも蒼真の愛は重いよ。でも今は幸せだよ」

「良かったっすね」

「うん。翔くんも身体無理しちゃだめだよ」

「はい」

「じゃあ、またね。蒼真に言っとくね。きっと今日行くよ」

「終わる頃だったらいつでもいいんで」

「わかった」


ヒラヒラと手を振って、桃華さんは停めてある車に乗り込み、俺も同じく車に乗り込んだ。

乗り込んで、さっき買った珈琲のプルタブを開け、口に含みながら蒼真さんを思い出した。


桃華さんの話は散々、蒼真さんから聞かされていた。

俺が丁度ホストになって暫く経ってからの事。


付き合ってる女がホスト大嫌いで俺に見向きもしねぇって。

付き合ってんのに連絡もしてこねぇし、しつこいから付き合ってるだけとか言われて意味分かんねぇわ。って蒼真さんが言ってたのをよく覚えている。


当時はマジでこの人、NO1かよって思ってたけど、よく考えたら俺も似たようなもんか。


そう思うと、どうしようもない笑みが零れた。