「えー、なんで?蒼真だったら泣くのに」
「マジで?」
「首振って泣くんだよ、マジ笑えるでしょ?」
ベンチに座ってる桃華さんはクスクス笑って、俺に視線を向けた。
「蒼真さん、可哀相っすね。お前可愛い顔してんなー、しかもすげぇ蒼真さんに似てね?」
「でしょ?意地悪そうな顔してるでしょ?」
「意地悪そうって、」
そう言って、俺は蒼真さんを思い浮かべながら苦笑いをした。
「なんかもう翔くんに抱いてもらえただけで大物になりそうだよ」
「なんすか、それ」
「蒼真いつも言ってるもん。翔は男前すぎてヤバイって」
「いやいや、蒼真さんもカナリですけどね。まじであの人だけは俺が唯一尊敬できる人っす。だから今の俺が居るんすけどね」
「え、翔くん今何歳だっけ?」
「23」
「うわー、絶頂期ど真ん中じゃん」
「そうなんすかねぇ…」
「若いっていいよね」
「え、桃華さんも十分若いっすよ。可愛さは全然変わらないっすね」
「ほんと、サラッと言うよね」
桃華さんは頬を緩めてクスクス笑い、そんな俺は苦笑いを漏らした。
「何がっすか?」
「蒼真も言うのよ。桃ちゃん可愛いねーって」
「いいじゃないっすか」
「なんか昔っからだけど、あの人が言うと嘘っぽくて。家でも営業トークしてんのかよって思う」
「ははっ、もぉそれ蒼真さん言ったら泣くやつっすよ」
「私も、はいはいって終わらせてるから、2番目の娘にキスしまくりで、やばいのあの人」
「あー、男、女、男?」
「そうそう。娘に、姫、姫って言ってる。娘も2歳なのにすごい嫌な顔してんの最近。笑えるよ」
「なんか蒼真さんの顔が目に浮かぶわ。また遊びに来てって言っといてくださいよ。俺いつでもいいんで」
「そんな事、帰って言ったら、じゃあ今から行ってくるって言うよ、あの人」
「桃華さんがいいっつーなら待ってますわ」
「帰ったら言っとくわ。…はーい、りっくん帰ろうか」
立ち上がった桃華さんは両手を広げて抱き抱える。
「めっちゃいい子。ママを大事にしろよー」
クシャっと頭を撫でると、蔓延の笑みを俺に向けてくれた。
そして、その俺の言葉に桃華さんはフッと笑みを漏らした。



