「…で、2人目っすか?」


短くなったタバコをベンチの横にある灰皿に押し潰し、桃華さんに視線を送る。


「あー、違う違う。3人目」

「え、3人目?まだ真ん中にいるんすか?」

「そうなの」

「一番上って、今何歳?」

「いま4歳」

「え?3人って、真ん中何歳なんすか?」

「2歳で、この子が1歳。年子なの」

「知らねぇ間に、めっちゃ産んでたんすね。え?前会った時、妊娠してました?」

「あ、多分産んだ後だと思う。あの時、何も言ってなかったからねー」

「そうっすよね」

「あの人、子供作るのだけは上手なの」

「もー、なんすか、それ」

「あはは」


思わず苦笑いになる俺を見て、桃華さんは声を上げて笑う。


「蒼真さん引退して4年経つんすね」

「そうだねー」

「え?何歳で引退しましたっけ?」

「えー…、28だったかなぁ。私が上の子を25で妊娠したから」

「あー、そっか」

「翔くんとは2年くらいしか働いてないけど、今でも蒼真、翔くんの事大好きだよー」

「いや、俺の方がすげぇ好きっすよ。あの人居なかったらここまで這い上がってねぇし」

「あれからずっと一番らしいじゃん」

「まぁ…」

「蒼真が言ってたもん。翔くんが入ってきた瞬間に、こいつが一番に這い上がんだろーなって思ったんだって。そしたらやっぱり翔くんがNO1になったからさ、蒼真の奴、俺の時代終わったかもーって、だから辞めるわって」

「…え?桃華さんが妊娠したから辞めたんじゃねぇの?」

「違うよ。翔くんが一番になったからだよ」

「あー…そうなんすか?てっきり妊娠したから辞めたんだと思ってました」

「まぁ、その後に妊娠に気付いたからね。あー…っと、ちょっと、りっくん降りて。ママ腕が限界だよ」


そう言って桃華さんはしゃがみこんで子供を下ろし、腕を擦った。

だけど嫌がって泣く男の子を宥めるようにベンチに座らせるも、男の子は泣きながら両手を上げた。

そんな困った桃華さんに俺は口角を上げた。


「ママ腕がしんどいーって言ってっからおいで」


桃華さんにベッタリくっついてベンチに座る男の子に俺は両手を差し出す。

その手に迷うことなく両手を向けて来た男の子を俺はヒョイと抱えた。

その瞬間、さっきまで泣いてた顔が笑みに変わり、思わず可愛いと思ってしまった。