刻々と時間が過ぎ、気づけば2月半ば。

何もない穏やかな毎日が過ぎていく一方、美咲が居なくなると言うタイムリミットが迫って来る。

今までこんなにも見るカレンダーが、最近ではやけに目に付く。

寂しいと言う思いより、笑顔で行ってくれればいい。

最近はそう思うしかなかった。


相変わらず寒いこの季節に、俺は空を見上げて息を吐き捨てた。

寒い所為で吐く息が白く、手が冷たさを増す。

しばらく来ていなかった墓。


俺が来ていないにも関わらず、お袋の墓にはいつもきれいに咲き誇っている花が飾ってある。

沙世さん、ほんとお袋の事、好きだったんだな…


そう思わせるくらい、いつ来ても真新しい花が飾ってあった。

その横に手に持っていた花を飾り、水を足す。


ぼんやりと墓を見つめた後、線香に火を点け、それを立てた。

ユラユラと舞い上がる煙に視線を送り、小さく息を吐き捨てる。


「…寒いな。そっちで元気にしてんの?」


過去を引っ張り出して、記憶を辿ってみたものの、お袋との楽しく会話をした記憶が全くなかった。

すごく遡れば幼少期の時くらいしかないだろう。


「俺は元気にしてる。今になって、すげぇ思うの」

「……」

「大切に育ててくれたこと」

「……」

「すごく感謝してる。もっと、もっと会話しときゃ良かったなって思う」

「……」

「ほんと、今更だよな、」


そう言って、思わずフッと鼻で笑う。

お墓じゃなくて、顔見てもっと会話すれば良かったと。

あの頃はお袋が嫌で嫌で、顔を見るのも話すのもウザかった頃。


今ではそれが遠い過去で。

その過去の事を今更思っても仕方がない事だけど、ここに来ると後悔が押し寄せてくる。


今になってお袋に会いたいとか、話したいとか思う自分に笑える。

ほんと、昔の自分に言ってやりてぇくらい。


「…また、来るわ」


そう言って、俺はこの場所を離れて、コンビニへ向かった。