帰宅し先に風呂に入った俺はベッドに横になり持っていたスマホのアラームを6時半に設定する。

そしてスマホの画面に埋もれるニュースに目を向けながら美咲が来るのを待った。

どれくらい時間が経った頃か分からないとき、隣に来た美咲にホッとする。


「あったかい」

「だろ?俺の体温で温めてやったからな」

「ありがとね」

「つかなんで風呂入ってんのにこんな冷てぇの?」


絡ませる足から伝わる冷たさ。


「わかんない」

「冷たすぎだろ」

「だって寒いもん。温めてよ」

「俺の体温全部あげる」


笑みを漏らす美咲に俺の頬も緩み、美咲の身体に腕を回す。

グッと俺の方へと強く抱きしめ更に絡まり合うその美咲の足がやけに冷たかった。

冷めて。…まじでなんでこんなに冷めてぇの?と思いながら抱きしめる。

それに答えるかのように美咲の腕が俺の背中へと回った。


「…私、」


暫くしてポツリと呟かれた小さな声。

美咲は俺の胸に顔を沈めながら声を絞るように出した。

その続きを口にしない美咲の頭を俺はゆっくりと撫でる。


「何?」

「うん…」

「どした?」


躊躇うように声を出す美咲の顔を覗き込もうとするが、美咲は腕を緩ませることなく、俺の胸から顔を離すことはなかった。


「私…、行くって言ったでしょ?」

「あぁ」

「5年なの」

「うん」

「考えてみれば5年って長いよね…」


そう言われて5年の重みを感じてしまった。

確かに長い。

俺がホストを始めた時から丁度今で5年。

その5年間を待つことになる。

だけど。


「そっかな?俺からするとあっという間だけどな」


口から吐き出したのは気持ちとは違う言葉だった。


「あっという間なんかじゃないよ」

「過ぎれば早いっしょ」


そう言って自分をそれで納得させる。


「過ぎる途中が長いの」

「でも、会えるって思ってたら俺は待てるよ?会いたいって言ったらいつでも会いに行くし」

「来て…くれるの?」

「行くよ。でも、みぃちゃん言いそうにねぇよな」

「うーん…言わないかも」

「だろーな」


思わず美咲の言葉に苦笑いが漏れる。

ほんと、美咲が言うわけねぇよな。なんて思うと更に笑みが零れる。