沙世さんと別れた後、そのまま風呂場に直行しシャワーを浴びる。

そしてベッドに倒れこんだ瞬間、俺は秒殺で目を閉じていた。


だけどその眠りは一瞬の様に早く、けたたましく鳴る音で意識が戻る。

手を伸ばし、そこにあるスマホを掴んで耳に当てた。


「…はい」

「お前、寝てた?もう着いてんだけど」


蓮斗の声で眠そうな閉じていた目がゆっくり開く。


「もうそんな時間かよ。すぐ行くわ」

「あぁ」


重い身体を起し、気だるいまま立ち上がる。

眠さを遮ろうと冷たい水で顔を洗うも眠さなんて吹っ飛ぶわけがない。


朝の仕事の支度は数秒だった。

起きて着替えるだけ。

ほかは何も着飾る事はないから物凄い楽だった。


エントランス前に黒いワゴン車が止まっている。

自動販売機で飲み物を買って、俺は助手席に乗り込んだ。


「…はよ」


そう言った俺に蓮斗はクスクス笑い、手に持っていた缶コーヒーを差し出した。


「サンキュー。つか、すげぇ眠そうだな」

「あれから帰って秒殺で寝た」

「お前、目覚まし鳴らしてねーのかよ」

「セットしてっけど、全然気づいてねーわ」

「お疲れだな、」

「お前、すげぇな。寝たのかよ」

「2時間ぐらい」

「2時間でそんな元気なんかよ」

「あの後、ユウトと別れた後に組織犯罪課の連れに出会ってよ、帰ったら4時半」

「は?組織犯罪課って、警察かよ。お前そんなツレいんの?」

「そうそう。もう一つの仕事がらみだけどな」

「お前、顔広いな」

「それはお前だろーが」


苦笑いの蓮斗にクスクス笑いながら俺は窓を開け、タバコを一本咥えた。

その煙草に火を点け煙を吸い込む。


「お前、沙世さんに吸うなって言われてただろーが」

「控えろっつってた。吸わねぇと眠さとれねぇわ」


空いてる窓に顔を向け、外に向かって煙を吐き出す。

何度か吸ううちに、空咳が喉の奥からこみ上げた。


「なんなのお前。癌かよ」

「ちげーよ。肝臓と肺?いつもより数値高いだけ」

「だったら控えろや」

「前より控えまくり」


タバコを咥えたままペットボトルの水の蓋をあけ、その水を喉に流し込んだ。