「そういや優香元気にしてんの?」

「してるよー、毎日子育てにおわれてるってさ」

「そう」

「近くに居たらさ、もっと助けてあげられるんだけどさ、離れてるとなかなかね」

「旦那の地元っつってた?」

「そう。ガヤガヤとした都会じゃないから住みやすいって言ってたよ。ミカンも育てられるしって」

「そか」


ハハッと笑う俺に沙世さんも頬を緩める。

アイツが母親って実感ねーわ。なんて思いながら、再び俺は笑みを漏らした。


「子育てってホント大変なんだから。翔くんの時は任せてね、私が居るから」

「何言ってんの?話しぶっ飛び過ぎ」


呆れた口調で返す俺に沙世さんはフフっと声を漏らす。

そんな事、考えたこともねーわ。


「おい、楓っ、」


不意に聞こえた声に視線を向けると、クスクス笑った流星がこっちに歩み寄ってくる。

その横には蓮斗も居て。


「は?なんで珍しくお前も居んの?」


俺は蓮斗に思わずそう声を掛けた。


「仕事でこっち来てたらコイツに出会って店で飲んでた」

「へぇー…」

「いやいや、レンがさ、お前見かけて愛人とおるっつーからよ」


そう言って流星は声に出して笑い始めた。


「どーみてもちげーだろ。あー…ほら、例のお節介の母親」

「は?意味分かんね」

「どーもー、初めまして。翔の愛人です」


沙世さんの笑いながら言う言葉にイラっとする。

そんな沙世さんにクスクス笑う蓮斗の声。


「あ、どーも。蓮斗です」

「もー、挨拶いいから。沙世さんも口出しすんなって、」

「え、なんでよ。別に挨拶くらいいいでしょ」

「良くねぇよ。お前らが集まるとロクなことねぇわ」

「失礼ね」


そう言い放つ沙世さんに流星の笑った声が耳を掠めた。