「どーも」

「ちゃんと食べて栄養はとらなきゃね。自炊してるの?」

「そんな時間すらねぇわ」

「ほんっと忙しいのは相変わらずだね。毎日ここに来たらご飯作ってあげるのに」

「は?毎日?勘弁して」


ゲンナリとした声を出すと沙世さんは眉を顰めた。


「もぉ、何よ。その嫌そうな返事」

「沙世さんの顔毎日見るとかねぇわ」

「はぁ?翔くん私を怒らせたいの?私の顔じゃなくてご飯でしょ?」

「あー…、うん、そうだけど、いいっす」

「ほんとに、もぉ」


ため息を吐き捨てながら沙世さんは顔を顰める。

だけどその表情がスッと変わり、


「ねぇ、翔くん?」


真剣な表情で俺を見つめた。


「うん?」


箸を動かしながらチラッと沙世さんに視線を送り、また自分の手元に視線を戻す。


「なんだよ、」


口を開かない沙世さんに、俺はもう一度、声を出した。


「これから先の事、ちゃんと考えてる?」

「なんで?」

「気になるから」

「なんだそれ。仕事ならちゃんと考えてっし」

「仕事じゃないわよ。彼女の事」

「は?」

「本当に真剣に好きなの?相手はまだ高校生だよ?翔くん――…」

「ってか、なに?俺が遊びで付き合ってると思ってんの?」


箸を動かしてた手を止め、俺は沙世さんに視線を向ける。

沙世さんはそんな俺の視線から瞳を逸らした。


「そうだよ」

「俺がそんな風にみえんのかよ」

「みえるよ。…本気なの?」


再び向けられた視線に「あぁ」とだけ呟き、もう一度箸を進める。

多分、沙世さんはお袋と美咲を重ね合わせている。

お袋が捨てられたように、美咲も捨てるんじゃないかって。