「そこ笑うところじゃないんだけど」


顔を顰めて言う実香子に俺はフッと笑う。


「いや、なんかマジで看護師だなーって思って」

「一応、看護師だよ」

「だな。ほら、俺の事なんてどーでもいいから仕事戻れよ」

「今から休憩だもん」


そう言って実香子が立ち上がった時、受付から俺の名前が呼ばれる。

同時に視線が受付へ向くと、俺は立ち上がってもう一度実香子を見た。


「休憩何時まで?」

「13時までだよ」

「飯食わね?」

「うーん…いいけど」


一瞬躊躇った実香子に俺は口元を緩める。


「無理して来なくていーから」

「いや、ちょっと誘われてたから」

「あ、じゃあそっち行きな」

「ううん。大丈夫。断ってくるね。着替えてくる」

「ここでいいんじゃね?」


上の階の食堂を指さす俺に、実香子は素早く首を振った。


「外にしよ」


真剣に言ってくる実香子と同時にもう一の俺の名前が呼ばれる。


「出入り口で待ってるわ」


俺は実香子にそう言って、会計まで足を進めた。

会計をしながらふと思う。

なんで俺は実香子を誘ったのだろうと。

誘って何を言おうとしてるんだろうと。

頭に引っかかったのは流星で、あれからどうなってんのだろうと。


流星は俺の事はウザいくらいに聞いてくんのに、自分の事は言ってこねぇ奴で。

だからこそ、あれからどうなったのかを知りたかった。


会計を済ませ、外にある処方箋で紙を提出し、再び出入り口前へ戻る。


「…ごめんね」


暫くして実香子は息を切らして走ってきた。


「そんな急がなくても」

「だって時間なくなるから」

「そこの定食でい?」

「うん」

「だから病院の食堂で良かったのに」


そう言いながら足を進める俺に、実香子の足音も近づいてくる。