診察が終わり大広場の受付のソファーに座って、自分の名前が呼ばれるのを待つ。
腕に嵌めていた時計に視線を落とし、思わずため息を吐いた。
もう12時になろうとしている。
ここに来て2時間。
「ながっ、」
思わずつぶやいた時、
「…翔くん?」
不意に聞こえた声に俺は気だるそうに視線を上げた。
「…え?」
目でとらえた瞬間、俺の目が見開く。
目の前で白衣を着た実香子が居る事に俺は驚いた。
なにしてんの?と言うまでもない。
目の前にいる実香子はここの病院の制服を着ていた。
「あ、翔くんが診察の前で座ってたのを見て気になったから。先週も来てたでしょ?」
「あー…、で?なんでお前はここの制服着てんの?」
「なんでって働いてるからだよ」
クスクスを笑みを零す実香子にまだ俺は驚いていた。
「…え?学校って看護学校行ってたのかよ」
「そうだよ。って、翔くんに言ってなかったっけ?」
「あぁ、聞いてなかったけど」
「あ、そか」
「ここで働いてんの?」
「うん。って言ってもまだ実習生みたいなもんだし2年はここにいるかな」
「へぇー…」
「で?翔くんはなんでここに?」
そう言って俺の持っている紙をスッと取り上げて、実香子は俺の隣に腰を下ろした。
「…たかっ、肝臓数値高いでしょ」
実香子は俺の顔を覗き込んだ。
「まだ大丈夫っつってたけど」
「この数値を見てどこにまだ大丈夫って言う医者がいるの?」
「でも肝炎になる手前って言ってたぞ」
「あのね、翔くん?もっと自分の身体と向き合わなきゃ」
「そだな」
真剣に言ってくる実香子に思わず笑みを漏らしてしまった。



