「酔ってないけど」

「いや、今日のリアは酔ってるよ」


首からリアの腕を離し、水をリアに渡す。

いつもあまり飲まないリアが今日は何故か飲む。

何があったのかは知んねぇけど、このまま深入りしてリアにのめりこんでしまうと後々厄介になる。


美咲がいる限り、前より控えめになっている事が自分にでもわかる。

だったら美咲と付き合わねぇほうが良かったんじゃねぇかって、思うも、それはそれで違うような気がした。


良くわからない感情がたまに自分をイラつかせた。


今日は帰る。と言ったリアを店の外に連れ出す。

タクシー乗り場まで進めていたリアの足が止まり、そのままリアはしゃがみこんだ。


「おい、大丈夫かよ」


そう言って俺もしゃがみ込む。

リアと視線を合わせ覗き込む俺にリアは、


「好きになると止められなくなる事だってあるわよね?」


意味深な言葉を吐き捨てジッと見つめたまま俺の頬に触れたと思うと、そのまま唇を重ね合わせた。

ほんと一瞬だった。

リアの冷たい唇が俺の唇に伝わる。

まるで体温を奪われるかのように。


なんでキスなんかされてんだよ。と、思いつつ俺はリアの肩に手を置き、離す。

離されたことによってリアの眉がスッと寄ったのがわかった。


「…なんかあった?」

「ねぇ、結婚しよ?」

「…え?」


ぶっ飛び過ぎて、それ以上の言葉すら出なかった。

結婚?

俺とリアが?

どうしてそうなる。


「お願い。私と結婚してよ」

「どした、お前。なんかあった?いつもそんな事言わねぇだろ」

「いつも?言ってるわよ。楓が私の気持ちに答えてくれないだけでしょ?」

「そんな事ねぇよ」

「じゃあ、抱いてよ。楓の愛がほしいの。一緒に気持ちよくなろ?」

「……」

「私が、そうさせてあげる」


そう言って再び重ね合わせてくる唇。

寒い夜空の下、唇が重なって更に寒さを増す。

リアの唇がゆっくり動いた時、俺はもう一度、その身体を離した。