「なに?お前まで知ってんの?」


そう言って俺はソファーに腰を下ろす。


「流星さんが病院行ってるっつーから。いや、でも行った方がいいっすよ」

「なぁ、流星は?」

「あっちの部屋にいますよ」


ここから奥の方に視線を向ける彩斗に俺も同じく視線を向ける。

ポケットからタバコを取り出し、それを咥えて火を点けた。

まだ半分も吸わない時、込み上げてくる苦しさに咳き込む。

止まらない咳にみかねた彩斗は俺の前に水を置いた。


「悪いな、」


そう言って、ペットボトルの蓋を開ける。


「思うんすけど楓さん、暫くタバコ辞めたほうがいいっすよ」

「うん?」

「楓さん、タバコ吸ってる時、ずっと咳してません?」

「そう、かな、」


むせ返る咳にまだ吸えるタバコの火を消し、水を含む。


「そうっすよ。楓さんが吸ったタバコ、めっちゃ余ってますもん」


そう言われて、思い出した。

今朝、沙世さんにも同じような事を言われた事を。


「あー…」


タバコが原因なのか?

疲れか風邪かなんかよくわからねぇけど、今は美咲に会わない方がいいと思ってしまった。

会えば、余計に不安にさせてしまう。

それにこの前、俺の身体の事で泣きそうに訴えてきたからな。

言えるわけねぇよな。


「…お前、行った?」


不意に聞こえた視線に顔を向けると、流星が目の前に腰を下ろす。


「なんで沙世さんに言ってんだよ、」

「言わなきゃお前行かねーだろ」

「……」

ごもっともな言葉に俺はため息を吐き出し口を紡ぐ。


「風邪じゃなさそうだしな」

「さぁな、疲れてっし」

「疲れ?なんの?最近は私生活順調じゃねぇかよ」


馬鹿にしたように笑う流星に思わず舌打ちをしてしまった。


「仕事に決まってんだろ」

「そんな2つもしてっからだろーが」


そう言いながらタバコを咥えた流星に釣られて、俺も同じくタバコを取り出し口に咥えた。

と、思えば、そのタバコがスッと一瞬にして口から離れる。


「…楓さん、リアさん来たっす」


そう言った彩斗の手元にさっき俺が咥えていたタバコがある。

思わず顔を顰めてしまった俺に流星はクスクス笑みを漏らした。