「私が翔の事を心配しちゃいけないの?なんでよ!じゃあ、私の前で薬なんて飲まないでよ!私の視界に入る所で飲まないでよ!じゃなきゃ、心配すんじゃん」


静まり返った部屋に美咲の叫んだ声が反響する。

そして今まで潤んでいた美咲の瞳からドバっと溢れるように涙が零れ落ちた。

その流れる涙を必死で止めようと拭う美咲の姿に、苛立つ。

苛立つのは俺自身で、ここまで美咲を追い詰めていたんだと気づいた瞬間、自分の行動に苛立った。


そこまで俺の事を思っていたなんて。と思うと自分に腹立たしかった。


「ごめん…」


そう言いながら涙を拭う美咲。

今まで俺の前でこんなにも涙なんて流した事もねぇのに、その美咲の涙を見た瞬間、どうしようもなくなってしまった。

美咲が謝る事など何もない。

悪いのは俺。

そう思いながら立ち上がり涙を拭う美咲の前に立つ。


「いや、俺が悪い」


美咲は何も悪くない。

悪いのは俺。

ここまで心配させてゴメン。

小刻みに震える美咲の身体を抱きしめる。

抱きしめられたことで、ピクリと美咲の身体が動く。

ふわっと抱きしめて、美咲の頭を何度か撫ぜる。


「まさか、みぃちゃんがそこまで思ってるとは知らなかった。ごめん…」


マジで、ごめんな。

でも言ってくれたからこそ美咲の思ってる事が分かって、俺には良かった。


「でも大丈夫だから」

「…大丈夫の保証なんて何もない」

「あるよ」


あるから。

そう思いながら更に美咲を抱きしめる。


「何?」

「みぃちゃんが居るっていう保証」

「意味わかんないよ」

「みぃちゃんが居なかったらきっと…何も考えてねぇだろうな。でも、みぃちゃんが居るからこそ気を付けねぇとって思ってる」


多分そんな事今まで考えた事もなかった。

誰かのために、とか。そんな事。

でも美咲が居るからこそ、億劫になっていた病院もちゃんと通いだした。


こんな俺の事をここまで考えて想ってくれる人が今まで居なかったからこそ…