「…邪魔、かよ」

「でも尊敬はするよ。凄いって思うし」

「へぇー…」

「だからこそ負けたくないんだよねー…」

「ふーん…」


″楓さんにはマジで負けないっす″

ルイから何度も言われる言葉。

物凄く敵対心が強いルイ。

その言葉だけで意地でもこっから落ちないようにしてる俺は結局自分の居場所を確保してるだけに違いない。

結局は寂しさを紛らわす為のNO1に違いない。

心の穴に誰かを埋めようと…

そうすることで気持ちが和らぐ。

だから落ちたくもなければ辞めることも出来ずにいる。


「てかさ、聞いてきたわりには興味なさそうなんだけど」

「いや、そんな事ねぇよ」

「そんな風には見えないけどね」


一息吐き出したミカはやっとスマホを鞄の中に仕舞った。

つか、長すぎだろ。


「お前さ、彼氏っつー奴の前でひたすらスマホ触んねぇほうがいいぞ」

「そんなのやるわけないじゃん。営業メールしてるってのは知ってるけど、目の前でやんないし」

「だよな。つか、どんくらい送ってんだよ?」

「えー…色々だから分かんない。多くて200近く?」

「はぁ?マジかよ、ありえねぇわ…」

「だから普通はこーなんだって。ま、毎日そんなに送ってないけどさ。楓が別格なんでしょ?ねぇ、楓も番号教えてよ」


頬杖をついたミカは口角を上げながら首を少し傾げる。


「無理。入る枠ねーし」

「えー、そうなの?じゃあもし誰か入れる時どーすんのよ」

「さぁ…ツレでも消そうかな。つかお前、男居んだろーが。軽々しく聞くなよ」


エヘっと舌を出して笑うミカに呆れたため息が思わず漏れた。