美咲とゆっくり話す時間などあまりなかった。

美咲が言う通り、俺は病気の事について言わなかったし、それを敢えて避けていた。

ただ美咲が心配するから。

理由はそれだけ。


だけどそれが逆に心配させていた事に申し訳なく感じた。

ソファーに座ってポケットからタバコを取り出し、火を点ける。

天井に向かって吐き出した白い煙をボンヤリと見つめた。


暫くして美咲が来る気配を感じ俺はその方向に視線を向ける。

制服姿でボーッと突っ立っている美咲に口を開いた。


「…みぃちゃん?」

「ごめん…」


呟かれた小さな声。

美咲は申し訳なさそうに視線を落とし、唇を噛んだ。


「いや、別にっつーか何かあったか?」


いつもと違う美咲の態度。

感情的になって突っかかってきた美咲なりの理由があるはずで。

俯いている美咲から視線を外し、俺はタバコを咥えたままテーブルにあるパンフレットを摘まんだ。

パラパラと捲り中を見るも難しいことだらけで俺にはついていけない。

美咲が決めた選択に何故か心苦しくなる。


「…怖いの」


ポツリと呟かれた声。

寂しそうな悲しそうな声。

タバコを消して視線を美咲に向けると、カチ合った美咲の瞳が少しだけ泳いだ。


「何が?行くのにか?」


パンフレットをテーブルに置き、俺は身体ごと美咲に向けると、美咲はゆっくりと首を振った。


「…そうじゃなくて…」

「じゃあ何?」

「翔が心配…」

「何が?」

「翔の身体…」


潤んだ瞳が何度か泳ぐ。

そんな泣きそうになるくらい俺の身体が心配って。


…んだよ。

そこまで心配かけてるつもりもねぇんだけど。

なのに、なぜそんな悲しそうにしてんだよ。