―――…

薄っすら目を開けると電気の光に目が眩んだ。


「…うわっ、」


いつの間にか寝てしまっていた事に気付き、ゆっくりと身体を起す。

目の前のソファーで眠っている美咲にため息を吐きだした。

ベッドまで運ぼうとしてたのに、そのまま眠ってしまった事に申し訳なく感じる。


カーテンの隙間から明かりが入り込み、もう明け方なんだと思うと余計にため息が零れ落ちた。

テーブルに広げられた海外のパンフレットをペラペラと捲って目を通し、それを綺麗に整え、そのまま立ち上がって風呂場に直行し、シャワーを浴びる。


濡れた髪を拭きながらリビングに向かうと美咲が目を覚まし身体を起していた。


「おはよ」


俺の声で視線を向ける美咲はまだ目が覚め切ってないのか、ボーッとこっちを見る。


「風邪引くぞ」


そう言って冷蔵庫からウインターゼリーを取り出し口に含んだ。


「あ、うん…。おかえり」

「ただいま」

「ねぇ…」

「うん?」


美咲の沈んだ声に俺は振り返る。

振り返った先に見えるのは俯いた美咲で。


「ちゃんと食べてんの?」

「え?」

「だから、ちゃんと食べてる?」


あまりにも小さな声で聞き取れなかった声が更に大きく返って来る。

どした?と言わんばかりに美咲は顔を顰めたまま俺に視線を向けた。


「食ってる。つか、みぃちゃんこそ食ってんの?帰ってきても食った形跡もなければ作った形跡もねぇけど」


そんな事、言うこと自体間違ってたのかも知れない。

俺が食わせてやりゃあいい話の事。

美咲の事を放置し過ぎなのは俺の所為でもあるのに、なぜ美咲は俺の心配をする。

台の上にある袋の中から薬を取り出し、それを水で流し込んだ。


だけど。


「なぁ?食ってんのか?」


聞かなくてもいい事をまた俺は口に出してしまった。