「蓮斗さんにはマジで申し訳ないけど、兄貴をやめてほしいくらいっす」

「お前、それ殺されるレベルだな」

「ですよね。撤回します」

「今度、蓮斗に言っとくわ」

「はぁ?やめて下さいよ。マジで殺されますって」


ゲンナリとした声を出したアキは深くため息を吐きだす。

と、同時にアキが急に足を止めた所為で俺は後ろを振り返った。


「どした?」

「ルイさんって毎日凄いっすよねー、出勤前からっすか」


呆れた様にハハッと笑うアキの視線に目を向けると手前から女と歩いて来るルイが居る。

来た方向はもちろんホテル街からで。

だからと言ってホテル帰りかは知らねぇけど、ルイならありえる。


「どうでもいいわ。アイツに興味ねぇし」

「思うんすけど楓さんとルイさんって仲悪いっすよね」

「別に悪くねぇわ。アイツが俺の事を嫌ってるだけ」

「あー…楓さんを抜かせないから?」

「さー…」


そう言いながら止めていた足を再び動かした。


「あ、でも俺は楓さん派っす」

「いやー…ここらでちょっと路線変更でもしたほうがいいんじゃね?」

「と、いいますと?」

「ルイ派にするとか」

「嫌っすよ。あ、ルイさんが嫌とかではないんすけど、ルイさん飯代払ってくれそうにねぇっすもん。女ばっかに払ってそうで」

「は?」

「あ、」


何が、あ。だっつーの。

言ってから引きつる様に顔を強張らせそして笑いに変えるアキに軽く舌打ちする。


「お前さ、一回蹴りいれていいか?」

「あ、いや、まじそー言う意味じゃねぇっす。単に楓さんが大好きって事です」

「はいはい」

「まじ適当っすよね。あーあ、最近なんもいい事ねぇし、なんかないっすかね?」

「ねぇな」

「タケルでも誘って遊びにいくかなー…」

「俺マジで後悔してる」

「はい?何がっすか?」

「お前とタケルを引き合わせた事に」

「なんすかそれー…ま、今日も頑張りましょーね、楓さんっ、」


なんだ、アイツ。

小さく心の中で呟いてため息をつく。

店の中に入って、冷蔵庫からウインターゼリーを取り出し、それを口に含んだ。