「そう。だから忠告してんだよ」

「どうもありがとう」

「じゃねぇと兄貴がうるせぇだろ?」

「ほんとそれ。私もう21歳だよ?お兄ちゃんが認めた男じゃないとダメってなんなのよ」

「それほど大事にされてんだろ」

「子供じゃないんだし、気持ちわる」


顔を顰めて呟いた澪に俺はクスクス笑った。


「それ言っとくわ」

「やめてよ。そんな事言ったらなんで翔くんとそんな話になって何で会ってんのかって問い詰められるでしょ?」

「すげぇ先読んでんな、お前」

「悪かったわね、先読んでて」

「あー…時間あっし店寄ってく?」

「行くわけないでしょ。私ホスト嫌いなんだけど」

「知ってる」

「むしろ今、翔くんと居る所を友達とかに見られてても嫌なんだけど」


辺りを見渡しながら本当に嫌そうに口を開く澪に俺も苦笑いが漏れてくる。


「なんかすげぇ嫌ってんね、俺の事」

「違う。翔くんが嫌いなんじゃなくてホストが嫌いなの」

「なんで?」

「だって上辺だけの男じゃん」

「言うね、お前は。いい男も居るよ?紹介してやろうか?」

「なんなの?なんの嫌がらせ?」

「嫌がらせじゃね――…」

「おーい、楓さんっ、」


明るい声が俺の声を遮った瞬間、必然的に俺の意識がそっちに向かう。

振り向いた瞬間、このタイミングで来るとは…と思い思わず苦笑いが漏れた。


駆け寄って来たアキは蔓延の笑みで頬を緩ませる。

俺の名前を呼んどきながらもアキの視線は目の前の澪だった。


「どうもっ、」

「あ、…どうも」


テンション高めのアキに対して澪は困惑気味に返す。

そして頬を緩ませたまま俺に視線を送った。

アキとかち合う視線。

その視線が何かを言いたそうで、その目が空気読めよって感じで。


だから視線を少しづつ避けながら軽くため息を吐き捨てた。