「そうにはみえないけど…」
「つか、みいちゃんにしてあげられる事ってこんな事しか出来ねぇから。…だから送る」
頬を緩める俺とは違い、美咲は顔を顰める。
ほんとにこんな事しか出来なくて、ごめん。
もっと色々連れてってやりたいけど。
もっと一緒に居てやりたいけど。
せめて限られた時間の中で俺が出来る事はしてやりたい。
「おーい、行くぞ」
「うん…」
未だに突っ立っている美咲に声を掛けると、ハッと我に返ったように慌てて美咲がこっちに向かってくる。
「大丈夫?」
そう言って美咲に眉を寄せた。
「何が?」
「まだお酒残ってんじゃん」
「うーん…って言ってもそんな飲んでねぇしな」
「そうなの?」
「うん。だから大丈夫。みぃちゃん、お母さんによろしくね」
「うん」
病院まで美咲を送った後、帰ってすぐに寝落ちする。
目が覚め頃はもうとっくに夕方になろうとする時間で、俺は気だるいままシャワーを浴びスーツに着替えた。
店に行く前に病院に行って薬を貰う。
薬を飲んでるからと言って、良くはない身体。
ただこの薬で今の自分を保ってるようなもん。
ほんと、そう考えると何やってんだよって話で。
どうしようもなくなる。
病院を出てもうすぐで繁華街に差し掛かろうとする時、
「だから何回も同じ事、言わせないでよっ、」
あまりにも張り叫んだ女の声に俺の視線が無意識に動く。
男が女の腕を掴んで、その揉め合ってる2人を視界にとらえるも俺はその光景からすぐに逸らし足を進めた。
…んだけども、俺の視線がもう一度向かって足を再び止めた。
「…澪?」
ジックリと見つめ直すとやっぱり蓮斗の妹の澪が居て、何やら揉めている。
「だからお願いっ、離してってば!」
「つか怒んなよ」
「怒りたくもなるでしょ?もぉ、離してよ…」
こんな繁華街の手前。
人通りが多いこんな所で何やってんだって話。
こんな所、蓮斗に見つかってしまうと余計にめんどくさくなんだろうが。



