「でも…」

「……」


小さく呟かれた声。

俯く視線が俺へと向けられる。

うん?っと首を傾げると美咲は更に表情を崩した。


「でも…ホントに心配だから」

「あぁ。分かってる。ごめん心配かけて…」


ごめんな。

もう一度心の中で呟き美咲を抱きしめる。

だからそんな顔すんなよ。

俺の事でそんな顔をする美咲は好きじゃない。


「学校…行くね」

「うん」


美咲の身体を離すと美咲はやんわりと微笑む。


「朝の仕事行くの?」

「いや、行かねぇよ」


だから学校行くの辞める?なんて思う自分に呆れのため息が漏れ、気を紛らわす様にソファーに腰を下ろしてタバコを咥えた。

美咲を見ると何故か手放したくなくなる。


ここまでそう思う自分に正直、驚いている。


「じゃあ…もう行くね」

「ん?」


タバコを咥えたまま美咲を見上げ、ポケットから取り出したスマホに視線を送る。


…6時53分。

いくらなんでも早くねぇか?


「え、つーかまだ7時前だぞ」

「あぁ…うん。ママに会いに行こうと思う」

「あ、そっか」


会える時に会っとかねぇとな。

母親を大事にする美咲のそう言うところ俺は好き。

俺には出来なかった事。


煙を吐き出しながら灰皿にまだまだ吸えるタバコをすり潰し俺は立ち上がる。


「送る」

「ま、待って!」


玄関に向かっている途中に背後から美咲の張り上げた声が響く。


「どした?」

「私、一人で行けるよ。だから翔はゆっくり休んでなよ」

「ゆっくりって言われても俺、みぃちゃんよりは身体休めてる」


むしろさっきまで爆睡だったし、一人にさせていた事に申し訳なく感じる。