「みぃちゃん、すげぇいい匂いするからこのままずっと抱きしめてたい」

「翔もいい匂いするよ?」


その言葉で自分が言った言葉に後悔した。

一瞬、リアの匂いかと思ってしまった。

だから余計に美咲を求めたくなる。


「全然しねぇだろ。酒とタバコのしかしねぇわ。…一人にさせてゴメン」

「全然、大丈夫」


そう呟かれた瞬間、思わずフッと鼻で笑ってしまった。

大丈夫って、なんだよ。

俺は別にいらねぇから一人でも平気。って感じにしか聞き取れねぇんだけど…


「嘘でもいいから寂しいって言えよ」

「…言わない」

「言えよ。俺が寂しくなんだろ」


俺だけかよ、そう思ってんのは。

ほんとに言わねぇ奴だな、この女は。

俺が馬鹿みてぇだろ。

美咲の口から聞きたい。

俺に好きって言えよ。


他の女からはいらない。

美咲のその口から聞きたい。


さっきよりもグッと美咲を抱きしめる。

このほっそい身体が俺の身体に埋まる。


このまま抱きたい。と思う男の理性をぶっ飛ばし、俺は美咲の肩に顔を埋めた。


「私は…、私は翔の身体が心配」

「俺の?」

「うん。身体よくないんでしょ?薬…まだ飲んでるけど」

「あー…うん。だけど大丈夫」


大丈夫って言ったら嘘になる。

大丈夫のようにしてるだけ。


酒を飲む限り薬は絶対ものなんて、美咲に言えるはずがない。


「大丈夫だったら薬なんて飲まないじゃん」

「…だな」

「私が行ってる間に死んでたら嫌だ。それこそ寂しいし泣いちゃう」

「勝手に殺すなよ」


その美咲の言葉に思わず笑みが零れる。

それ以上、この会話はしないようにと俺は美咲の身体を離し、沈んだ表情をする美咲の頭をクシャリと撫ぜた。