13時に仕事を終わらせた俺は一旦帰りシャワーを浴びてから、買ってきていた昼飯に手をつけた。
スマホのニュースが画面の中に埋もれるのを目にしていた時、不意に鳴り出した着信音の音と同時に文字が目に飛び込んだ。
…蓮斗。
そのままスピーカーにして俺は箸を動かす。
「はい」
「お前、もう帰った?」
「帰ってきて飯食ってる」
「あー…食ってんのか」
「なんで?」
「いや、まだだったら飯行こうと思って」
「あー…てか、食ってなくてもそんな時間ねぇし」
「忙しいな、お前は」
「で、なんか用あった?」
「あー、連絡事項な。明日休みで明後日からタケルと一緒の現場だとよ」
「まじか、」
そう呟いた瞬間、蓮斗のクスクス笑った声が聞こえる。
最近あいつと会ってねぇから久々に会うと堪えるだろう…
「まー、仲良くしたれや。俺も居るし」
「あー、お前も居んの?だったら別にいいわ」
「なんじゃそれ。俺が居たらいいのかよ」
「居ないよりはマシ。で、迎えに来てくれんの?」
「は?俺が?タケルに頼めよ」
「だから二人になりたくねぇっつってんだろうが」
「じゃ自分で運転して来いよ」
「行けたら行ってるわ」
「そんなお前朝になっても酒ぬけねぇの?」
「ぬけてねぇよな。深夜1時まで飲んでっし。今の時間だと大丈夫だけどよ」
「飲みすぎだろ。ちょっと控えろ。その内、薬も効かなくなんぞ」
「うーん…ま、うん、」
「んじゃ明後日7時な」
「あぁ、よろしく」
電話を切った後、昼飯を食いスーツに着替える。
身支度を済ませた後、俺は引き出しの中から線香を取り出し、お袋の墓へと向かった。



