「こんな朝っぱらからすんなよ」

「だって帰って爆睡じゃん?そうすると、そんな時間ないんだよね」

「つかお前ずっとそんな朝っぱらからしてんのかよ。この時間帯迷惑だろうが」

「迷惑じゃないよ、きっと」

「お前が決めんなよ。今、5時半だし」


俺は腕時計に視線を落とし、ミカを見た。


「大丈夫だって。てか、楓してないの?」

「しねぇよ」

「はぁ!?しなきゃ指名とれないじゃん」

「あー…切羽詰まった時だけ。それに俺マメじゃねぇし」

「はぁ…いいよな、顏パスでいける人は。営業メールなしでNO1取れる奴なんてあんま居ないよ?」

「だから切羽詰まったら毎日してるって」

「でも今、切羽詰まってないじゃん」

「まーまー…つかなに送ってんの?」

「うん?…おはようって」


思わずクスクス笑うと、ミカが一瞬眉を潜めた。


「馬鹿にしてるでしょ?」

「いや、かわいいなーって…」

「ほら!だからホスト嫌いなんだよねー…」

「つかお前が誘ってんだろうが。ホテルとかよ、」

「楓だって抱きついてきたじゃん」

「お前がそーさせたからだろーが」

「あれはさぁ…ちょっとムシャクシャしててさ」


声のトーンを落としたミカは小さく息を吐き捨て視線を下に落とした。


「は?だから俺かよ」

「ちょっと彼氏と色々あってさ」

「…は?お前、男居んのかよ」

「うん最近だけど。楓が相手にしてくれないから彼でも作ろっかなーってね」

「あぁ、そうかよ」

「私に彼氏いる事にショックだった?」

「んなわけねぇだろ」

「嫉妬した?」

「しねぇよ」

「言うと思ったぁー」

「で、お前がキャバって知ってんのかよ」

「うん。だって客だもん」

「はぁ!?」


スラッと言った言葉に俺の声がやけに響く。

ミカはそんな声に動じず、運ばれてきた料理に手をつけた。