未だ朦朧とする意識の中、俺は再びシャワーを浴び眠気を覚ます。

作業着に手を掛けた時、ふとその横にあるものに思い出した。


「あー…」


思わず声を漏らしそれを手に取る。

諒也に渡すために買ってきていたソレをどうしようかと一瞬躊躇った。

今日行ける時間を考えてみたものの、そんな時間すらない。

仕方なくその紙袋を手にしリビングに顔を出し、


「みぃちゃん、今日諒也の病院に行ける?」

「え、…何で?」


美咲は制服のスカートの中にシャツを入れて俺に視線を向けた。


「渡してほしいもんがあるから。俺、行く時間ねぇし」


仕事は午前中で終わりだけども、その後にお袋の墓に行きたい。

そして自分の病院にも行きたいし、そして寄りたい所もある。

どう考えても夜の仕事までに時間すらない。


「あー…じゃあ今から行くけど」

「は?何で今から?帰ってから行けよ」

「だってバイト行くもん」

「は?…バイト?」


思わず驚いてしてしまった所為か声が大きくなり、美咲は少し顔を歪めた。


「うん」

「何で?」

「何でって今までサボってたから。みんなに迷惑かけちゃう」

「つか、行く必要なくね?もう頑張んなくてもいいだろ」


もう、お前はもうちょっと休憩しろ。

沙世さんじゃねぇけど、もうお前も頑張んのやめろよ。


「いや、そうじゃなくて身体鈍ってるから。散々サボっちゃったし」


いやいや鈍ってるとかそう言う問題じゃねぇしな、俺が言いたいのは。

苦笑いしている美咲に思わずため息を吐き捨てた。