「そう思うだろ?でも百合香ののほうが根性すわってたよ。俺にタンカ切るぐらいだしな」
「ははっ、」
「今更お前に言うのもなんだけど、離婚した時、金銭的な事とか生活面で困ってる事あったら言って?なんて言ったけど、百合香の奴
″あなたに頼るぐらいなら1人で頑張るから゛って、」
「……」
「相当俺、嫌われてんなって思ったけど。でも翔の事を沙世から聞いてたら思うよ、あぁやっぱ百合香の息子だなって」
「……」
「成長したなぁーお前も。俺は嬉しいよ」
「なんすか、それ」
苦笑いに呟きながらタバコの煙を吐き出し、グラスに入っている水を口に含んだ。
「男は色々あんだよ。荒れてる頃も経験。迷惑掛けんのも青春の内ってやつな。でも心配だから口うるさく言うだけ。沙世はお前のこと息子の様に見てきたから大切なんだよ」
「わかってる。感謝してるよ」
「俺もな翔の事、息子と思ってっし、こうやって男同士で酒飲みたかったんだよ」
「ここでは酒禁止にされてるんでまた他で飲みましょ」
「おぉ。それがいいな」
「ちょーっと、何が他で飲むって?駄目よ、翔くん!仕事以外はお酒禁止よ!アナタもお酒で誘わないで。大事な息子なんだから、何かあっちゃ困っちゃうわよ」
「そうらしいぞ、翔」
不意に割り込んできた沙世さんはため息を吐き捨てながらテーブルにある空いたお皿を全部下げていく。
哲也さんのその言葉に俺は苦笑いを零した。
「はい、翔くん。最後の〆にどーぞ」
ニコッと微笑んだ沙世さんは目の前にトマトジュースを置く。
「どーも」
「あら。やけに素直ね」
「うるせぇからね」
沙世さんを見上げて口角を上げると、一瞬にして眉がよる。



