「もう諦めて蓮斗さんの妹みたいっす」

「はっ?お前、あれマジで言ってたのかよ」


笑いながら言う彩斗の言葉に俺は思わずアキに視線を送った。

俺だけじゃなく流星までも「馬鹿だな、お前」なんて言葉を口にする。


「いやー…まじで蓮斗さんの妹じゃなかったらアタックしてると思います」

「無理だろ。そもそもレンの妹、ホスト嫌いだし」

「えー、まじっすか?」

「嫌いっつってたわ。しかも年上好きだしよ」

「はぁ?俺全く当てはまんねぇじゃん」

「そう。お前は論外っつーことよ」


ケラケラ笑っている流星の隣で同じく笑っているとポケットの中から響き渡るスマホに手を伸ばす。

そこから取り出した画面を見て思わず「あぁ…」と俺は声を漏らした。


「噂をしてたら見ろよ」


画面に表示されている蓮斗の文字をアキ達に見せる。

そんな蓮斗の文字に流星はクスリと鼻で笑った。


「はい」

「お前さ、明日俺の現場とかわってくんね?」

「なんで?」

「ちょっと依頼受けてる所がちけぇから」

「あ、あぁ…なるほど。つか、お前んとこタケルいんねじゃねぇのかよ」

「あー、アイツ違うとこ」

「ならいいけど」

「つか何だよ、お前。タケル恐怖症なわけ?」


ケラケラ笑う蓮斗の声に「そんなとこ」小さく呟く。


「仲良くしたれや」

「いや、アイツと仲良くすることが精神的ダメージだかんな。なぁ、それより澪って男居んの?」


サラリと聞いた俺は頬を緩め、スピーカーのボタンを押す。


「は?ミオ?しらねぇよ、んなこと。それがどした?」

「紹介したい奴が居る」

「――…ちょ、それは言わなくってもいいっす」


目の前のアキの声が小さく飛んでくる。


「お前、付き合いたいんじゃねぇのかよ」


流星のクスクス笑った声に何故かアキは焦って顔の前で両手を×にして必死にアピールした。