「…翔の所為じゃないよ」

「でも俺の所為かもって言ったろ?」

「そうだけど…」


美咲も何が言いたいのかよく分かんなかった。

相当、頭が混乱しているのだろう。

蹲る美咲の瞳はきっと潤んでいるのに違いない。


諒也の前では平気で涙を見せるのに俺の前では見せられないって?

どんだけ強がんだよ、お前。

そんなにも美咲の中で俺が邪魔してたのかよ。と思うと苦しくなる。


「今のみぃちゃんの答えは?」

「…答えって?」

「留学。したいかしたくないか、行きたいか行きたくないのかどっち?」

「…ない。行ける訳ないじゃん。…翔と居たい」


聞けて嬉しいはずなのに。

聞けて喜ぶはずなのに。

なぜ、こんなにも苦しいのだろうか。


「やっぱ言わなきゃよかったな…」


まじで。

言わなきゃよかった。

吐き出したくもなかった。

美咲に対する″好き″と言う気持ちを。


だから思わず深いため息を無意識に吐き出してしまった。

そのあまりにも深いため息の所為で、「何それ…」美咲の暗い声が落ちる。


「みぃちゃんの事、困らせたくなかったから今まで何も言わなかった。ただ俺はみぃちゃんが望む事を傍で見届けてやりたかった」

「でもそうじゃないよ。私も、…私も翔が好きなの。一緒に居たいの。それでも翔は行けって言うの?」

「あぁ」


だって、それはお前の夢だったんじゃねぇの?

それを俺は壊す事は出来ない。

俺と言う存在だけで壊す事は絶対に出来ない。


「…ってか分かんない。普通なら行くなって言うんじゃないの?」


つか普通がなんなのか俺には分かんねぇけど。

普通ってなんだよ。

そもそもその普通を俺は知りたい。